その歯ブラシ、人間用?それともイヌ用? 犬に最適な歯ブラシを歯科衛生士が解説!

犬の歯磨きについてお話しすると、「人間の子供用を使っています!」という方は少なくありません。
愛犬に歯磨きをしている人はわずか3割ほどだと言われています。
そのうちの25%は人間用の歯ブラシを使っているのだとか。
子供の数よりペットの数が多くなったと言われるのに、まだ愛犬に人間用の歯ブラシを使っていませんか?

この記事はこんな飼い主さんにおすすめ
人間用の歯ブラシで愛犬の歯磨きをしている飼い主さま
歯ブラシジプシーになっている飼い主さま
犬の歯磨きがなかなか上達しない飼い主さま

犬に適した歯ブラシはどんなもの?

そもそも犬にぴったりな歯ブラシってどんなものなのでしょうか。
人間のお口と犬のお口は明らかに異なった形状で、そこに生えている歯の形も作用も大きく違っています。
もちろん歯を磨くという作業に変わりはないのですが、家族でもある愛犬の健康のために、愛犬に適した犬用歯ブラシを選んで欲しいと思います。

歯ブラシの選び方はこちら→愛犬の歯ブラシの選び方

犬と一口に言ってもこんなに種類の多い動物は珍しいのです。
2キロに満たない超小型犬も60キロを超える大型犬も、どちらも犬ではありますがそのわんちゃんたちが同じお口の大きさのわけもなく、歯の大きさにしても雲泥の差があります。

このような例から見ても、愛犬の歯ブラシ選びはとても難しいけれど、うちの子にぴったりなものを探す必要があるというわけですね。

犬の歯磨きの難しさ

一口に言って犬の歯磨きは簡単ではありません。
人間の歯磨きと言えば多くは自分の歯を磨きますが、犬の歯磨きというのは人間でいう仕上げ磨きに近く、「対象を磨く」という動作になります。
犬の歯磨きを人間で例えれば子供の仕上げ磨きをしたり、介護のための口腔ケアと同じように自分で磨けない対象に対して歯磨きをするということによく似ている状況です。

犬は歯磨きの感想を伝えられない

厳しく言えば、自分の口もなかなか上手に磨けていないという飼い主さんだって少なくないはずですよね。
プロではない一般の方が、しゃべれない対象者(犬?)でありじっと口を開けていてね、という指示を聞いてくれるかどうかわからない対象の歯を、磨いていくってとても難しいことなんです。
痛いとか、歯にあたってない感じがするとかの感想も聞けないまま、修正をするチャンスもないので、歯みがきを習慣化するというのは非常に難しいのです。
犬の場合痛みを訴えることはありませんが、歯磨きが嫌いになって逃げたり、首を振ったり暴れたりして、さらに難易度が上がってしまうのです。

力がつよくて痛いので、優しく磨いてもらえますか?
henri
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犬の歯磨きがそもそもよくわからない

ご家庭のワンちゃんの歯磨きに自信のある飼い主さんは多くありません。
お会いするクライアントさんはほとんどが、これでいいのかよくわからなくって、とおっしゃいます。
犬の歯磨きについて習ったり教わることがないので、よくわからないまま自己流で磨いている人が大半だと言ってよいと思います。

うちの愛犬にぴったりな歯ブラシは人間用?犬用?

人間より愛犬が小さなお口であれば人間の子供用を買ってしまうかもしれませんね。
でもちょっと待ってくださいね、何で犬に使うのに人間の歯ブラシを選ぼうとするのでしょうか。

人間の歯ブラシを使っている理由

  • 犬の歯ブラシはそもそも種類が少ないから
  • 売っているものを触って比較できず選べないから
  • 謎の犬だからの理論で、あるものを使うから

犬の歯ブラシは種類が少ないから

犬の歯磨きについてはこの数年大変関心を持ってもらえているようです。
それでも犬専用の歯ブラシは非常に選択肢が少なく、毛が硬すぎたり、持ちにくかったり
どれもピンとくるものがないというのが大多数の意見ではないでしょうか。

売っているものを触り比べられないから

大抵売られているものは箱や透明のパッケージに収められていて、毛の感触やハンドルの握りやすさなどの比較ができません。
そのため買って失敗してしまったりすることが続いて、どうしていいかわからないままという方も多いのではないでしょうか。

謎の犬だから、の理論

犬と人を比べたときになぜか、犬だからという思想がある方もいます。
外に落ちているものを舐めたり、食糞をしたり、硬いものが好きな丈夫な生き物だから安価な歯ブラシで充分!と。
人間の歯ブラシの方が安いから、と考えている方もいるようです。
確かにわんちゃんは硬いものを咬むだけの咬合力があるので、歯も顎も強いと思われがち。

実は犬の歯のエナメル質は人間より薄くてひびが入りやすい特徴があります。
また、咬んですりつぶすような働きには適さない口なので、咀嚼回数の少ない歯ぐきの質は人間よりもろいと言えるのです。
犬のお口って思いのほかデリケートなんですね。

良い犬用歯ブラシをさがそう!

犬の歯ブラシを購入するときはまずお口のサイズから考えます。
そのあと毛の柔らかさを確認しましょう。
ほかには私たちが持ちやすいハンドルであったり、毛先の植毛形態も判断材料になりますね。
乾燥しやすく衛生的に保てることは大切です。
口の中は細菌だらけなので長持ちという条件は二の次です。
歯ブラシを咬んでしまえば一度で傷がついてしまうことも。
傷がついた歯ブラシは粘膜や歯ぐきを傷つける可能性があるので、慣れるまでは交換時期が一瞬でやってくる可能性もあるんです。

このように交換が必須になるものですから、続けやすい価格であることも見落としがちですがとても大切なことです。

犬専用の歯ブラシは簡単に買えるの?

犬の歯ブラシはすべての犬種をカバーできるほど、多くの種類が無い状況です。
市場に満足のいく犬用の歯ブラシがまだ多く存在しておらず、歯ブラシジプシーになっている飼い主様も少なくありません。
結局人間用の方が価格が安かったり、手に取りやすかったりして、犬専用の歯ブラシにたどり着けないのです。
こんな背景から犬専用の歯ブラシと言えば本当に種類が少なく、心理的に身近でない分、簡単に買えないのが現状です。
犬の歯ブラシは専門店やトリミングサロン、動物病院や、ホームセンター、ドラッグストアやネット通販などで購入が可能です。

うちの子に合った歯ブラシを見つけるために、プロに相談をするのはいい方法ですね。

犬専用の歯ブラシがおすすめな理由

犬の特殊な口腔内に着目して発売されている歯ブラシは、歯科衛生士の視点から総合的にみて工夫がされているなと感じます。
歯みがきが難しい犬の口を研究して作られた専用の歯ブラシは、使いやすく考えられていますので大変お勧めです。
私たちが使いやすいということは犬にも負担がなく、無駄がなくなります。

犬が集中できる時間は非常に短いので短時間で効率の良い歯みがきができることは、犬専用の歯ブラシを使う大きなメリットになります。
小型犬用として小さい頭部を持ったブラシや、大型犬用に大きく効率よく作られているものもあります。
最近では複雑に生えている犬の歯列弓(歯列弓:歯の生えているところを上から見たときの形状)に考慮してネックにアングルを付けたものもあります。

歯みがきのプロの歯科衛生士が考えた、犬用の歯ブラシも注目されています。

犬の飼育頭数も多くなっているので今後もさらに開発、販売が活発になっていく分野だろうと推測します。
数が多くなれば飼い主サイドからすると、選びやすく手に取りやすい価格層の商品に出会える可能性は高くなりますね。

犬の歯みがきのアドバイスを受けよう

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私たちは愛犬の歯みがきのコツを指導しています。

犬の歯みがき、難しいと感じる人は多い

犬の歯磨きは簡単ではありません。
コミュニケーションや、技術、環境などから、様子を探りながら磨きやすい方法をみつける作業になります。
でも磨けないと言い切ってしまうのは、実は飼い主様都合です。
確かに難しさはあれど、歯みがきのプロにコツを学べば、少しずつできるようになっていくものです。

犬の歯みがきのアドバイスを受けるメリット

犬のお口についてはまだ知られていないこともたくさんあります。
それが一般の飼い主様となれば、愛犬の口とはいってもわからないことだらけ。

でも犬の歯磨きを習慣に取り込もうとしたら、まずは犬の口を知らなくてはなりません。
歯だけではなく頬の粘膜や歯ぐきの状態を見て、うちの子の今の状況を把握することはとても大切です。
それを踏まえてぴったりな歯ブラシはどれなのか、どんなことに気を付ければいいのか検討しなおすだけで急に磨けるようになることがよくあります。
口の中をしっかり見てもらい、磨けるコツをプロに聞いてみるのも一つの方法ですね

まとめ

  • 相手を磨くという技術は難しいので、専用の道具に頼りましょう。
  • 愛犬の歯ブラシは犬用を探してみましょう。
  • 犬の歯磨きのアドバイスを受けてみましょう

言葉のわからない対象を磨く作業は簡単ではないものです。
愛犬に用意してあげる歯ブラシは、犬の複雑なお口を考えて作られた専用のものをお勧めします。
正しい歯ブラシで回数を重ねていけば歯みがきは上達するものなので、諦めないで継続をしてほしいと思います。

犬の特殊なお口を理解したプロに磨き方や口の特徴を教えてもらうことはとても意味があります。
一つと言って同じお口、同じ状況はありません。
体調や年齢、環境によりお口の中は日々変化しています。
人間と同じように定期的にお口のチェックをして、愛犬の健康寿命を延ばしていきたいものですね。

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